法王は若い頃、出身国のアルゼンチンでナイトクラブの用心棒をしていたという変わり種で、「閉じこもって安全にしがみつく不健康な教会よりも、街に出て打たれ、傷つき汚れた教会の方がいい」と訴えています。
無神論をタテマエとする共産党ですが、その実体は独裁者を神と仰ぐ一神教に限りなく近く、宗教団体としての性格が濃厚であるようにも感じられます。
果たして水と油は、混じり合うことが出来るのでしょうか?
キリスト教のお祭りは大好きだけど、教義はまったく信じないという日本人は、なかなか賢明かもしれません (^_^;)
香港のカソリック教会枢機卿であるジョセフ・ゼンは
「バチカンは中国国内1200万人のキリスト教信徒を絶滅させようとしている」
として、激しくバチカンのフランシスコ法王を批判した。
「もし私が漫画家なら、ローマ法王が、あろうことか習近平にひざまずいて『どうか私をローマ法王と認定して下さい』と懇請している構図のものを描くだろう」
とフランシスコ法王の異常な遣り方を非難する。
カソリックの枢機卿が、法王を批判したのである。
たしかに現在のローマ法王フランシスコはイエズス会出身の異端児、そのうえアルゼンチン出身でイタリア留学組である。
南米はカソリックの王国であり、プロテスタントは少なく、信徒の大市場ゆえに選ばれたという説も流れたが、法王に着座以来、キューバを訪問したり、正教会と和解したり、イスラム教とも対話を推進するなど、型破りの行動を取ってきた。
特筆すべきはアルバニア訪問だった。
この無神論の国へ赴いてマザー・テレサを追悼するミサを行ったのだが、中国のキリスト教徒を「マーケット」と見立て、9月には中国共産党と暫定合意を結んでいることに直截に繋がる。
つまり中国共産党が任命する地区の司教をバチカンが追認するという破戒的な合意である。
台湾は、すぐさまカソリック司教をバチカンに派遣したが、ローマ法王はすげなく台湾への招待を断り、外交観測筋は年内にもバチカンが台湾と断交し、中国と国交を開くかも知れないと予測する。
中国国内のキリスト教徒は推定6000万人、カソリックはこのうちの1000万人から1200万と見積もられているが、中国共産党御用達のキリスト教会に背を向け、大半の信者は地下教会に通う。
蔡英文政権発足以来、台湾と断交した国々は五ヶ国。
ところが米国は最近になって台湾と断交したドミニカ、パナマ、エルサルバドルから大使を召還し、一方で台湾への梃子入れが顕著である。
駐台北の米国大使館(米台交流協会)の警護は海兵隊が行い、トランプ政権は「台湾旅行法」の制定以来、台湾防衛を鮮明にして武器供与を加速化している。
これは米国のバチカンへの無言の圧力である。
そのうえ、10月4日のペンス副大統領(写真)の宣戦布告的な演説のなかに
「中国はキリスト教会を破壊し、聖書を焚書し、信徒を激しく弾圧している」
との文言がある。
キリスト教徒の多い米国では、これまでウィグル族弾圧にそれほどの関心がなかったが、キリスト教徒への弾圧を聞いて、中国への敵愾心はさらに高まっている。
「反中」は全米のコンセンスなのである。
香港の枢機卿による激しいローマ法王批判は、大いに注目しておく必要がある。