▲北京は北部戦区に囲まれている
武漢ウイルスが、中国共産党の独裁体制を揺るがしている。
2月12日朝時点で、中国本土での死者は計1110人、感染者は4万4000人を超えた。
世界保健機関(WHO)は、新型肺炎を「COVID(コビッド)-19」と名付けた。
事実上、中国国内はパンデミック(感染爆発)状態であり、最前線に立つ人民解放軍の医療部隊も疲弊しつつある。
ネット上では、「習近平は、どうして武漢市に行かない?」といった批判も見られるという。
「政権は銃口から生まれる」(毛沢東)という国柄だけに、「死のウイルス」が人民解放軍内にまで広がれば、初動対応に失敗した習近平政権への怒りが爆発しかねない。
人民解放軍は、歴史的成り立ちから、軍中央の支配が届きにくい半ば独立した軍閥の集まりである。
習近平に忠誠を誓う軍閥と、習近平に距離を置く軍閥がある。
背景に、利権と政争が複雑に絡み合う。
習近平が最も恐れるのは、人数が多く、軍事的にも充実している北部戦区だ。
北部戦区は、反習近平派の牙城である。
2016年2月、人民解放軍で最精強とされた旧瀋陽軍区と、旧北京軍区の内モンゴル自治区、旧済南軍区の山東省を統合して誕生した。
ロシアと朝鮮半島に接するため、軍事費が優遇され、最新兵器が集積されてきた。
北部戦区の司令部は瀋陽市に置かれている。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権と近く、北朝鮮利権の見返りに、武器やエネルギー、食糧などを極秘支援しているとの見方もある。
習近平への個人崇拝は崩れつつある現在、最悪の場合、中国全土で暴動が起き、共産党体制が揺らぎかねない。