恒大ショック(1)


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日本国内はコロナと自民党総裁選で持ち切りですが、世界経済の導火線の火は残り少なくなっています

中国最大手の不動産コングロマリット「恒大集団」が爆発しそうです

中国のGDPを世界2位に押し上げるために、必要も無いビルや高速鉄道を作りまくったチャイナチス中国共産党

そのツケを支払う時が近づいています

中国のバブル崩壊が、チャイナチス中国共産党の独裁体制を揺るがし、その影響力を下げるとすれば、長期的に見て、人類の自由と平和のためには良いことかもしれません

ただ、余りにも規模が大きいので、短期的な悪影響も避けられそうもありません

リーマンショックなどとは比較にならない、世界的な大恐慌になるかもしれません

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杜子春は芥川龍之介が中国の古典からヒントをえた短編小説。

人生の激しい浮き沈みの喜怒哀楽と悲哀がただよっているため、感動的に読まれた。

中国古典には、似たような話があるが、杜子春はまったく芥川の脚色。

日暮れの町辻で金持ちの息子杜子春が放蕩の限りを尽くして無一文。しょんぼりうなだれているところへ顕れた仙人が「ここを掘れ」という。たちまち黄金がザクザクとでた。またまた放蕩三昧、贅沢の限りをなして落ちぶれて乞食。そこにまた仙人が出現し、「あそこを掘れ」。またもや黄金がザクザク。贅沢三昧に惚けるが、要はカネがあるときはちやほやされ、人がなれなれしく寄ってくる。即席の友人もできる。或いはカネを狙った愛人となる。ところがカネがなくなると誰も寄りつかない。世間の冷たさ、友情の本質と打算を寓話にしたのだ。

『フォーブス』で「世界の金持ち」と称賛された中国人は山のようにいる。

アリババの馬雲はすっかり表舞台から消え、ハーバードビジネススクールに招かれ講演したほど意気軒昂だった王健林も、いまは落ちぶれた。うきしずみの激しさ!

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飛ぶ鳥を落とす勢いだった許家印(恒大集団CEO、←)は、2017年のピークから、落剥して杜子春の如く烈風に曝されている。倒産は秒読みとなった。

恒大集団が倒産すれば、あまりにも規模が大きく中国の金融システムを揺らすだろう。なにしろ中国の株式市場の規模は邦貨換算で5000兆円をこえる。

6月末の証券報告書に拠れば、恒大の社債、株式をファンドに組み込んでいた欧米勢のファンド、とくに「アシュモア・ファンド」(英国)は440億ドルを保有していた。UBS、HSBCなど世界に名だたる名門老舗銀行が名を連ねていた

恒大集団は不動産バブル時代、次々と強気に投資し、あちこちにマンションを建設し、頭金を集めて回転資金とし、次の投資へと、猪突猛進、CEOの許家印は全人代委員にも選ばれ、また21年7月1日の共産党百周年記念式典にも出席した。

恒大の負債は最大時に8700億元だった。21年六月末の証券報告に拠れば、保有する物件価値が4568億元、表向きの負債は1兆9670億元、有利子負債は5718億元、手元現金が867億元とされた(1元は21年9月19日現在=17円)。

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ファンドが投げ売りを始めたため恒大集団の株は下落、傘下の恒大自動車は93%の株価暴落、恒騰ネットは85%の暴落

この時点で中国不動産大手の負債率は、恒大が88%、万科が83%、碧桂園が85%、緑地が89%、融創が93%、華夏幸福が83%などであった。

メインバンクは慌てて「貸しはがし」に入る。物件の抵当処分、担保権の設定強化、経営監視など、だが「時、既に遅し」。

リーマンショックの引き金となったリーマンブラザーズCEOは名言をはいた。

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 「皆がダンスを踊っているときに、

  ひとり逃げ出すわけにはいかない」

銀行は顔面蒼白となった。

内蒙古省の包商銀行は明天証券系で、負債総額2059億元(9・5兆円)で倒産し、国有銀行に衣替えした。安邦保険のメインバンクは成都農業銀行だった。トウ小平の孫の女婿だったCEOの呉小輝さえ、土壇場で救われなかった。

恒大のメインは盛京銀行で、ほかに200行以上の金融機関と取引がある。

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安邦保険は、高利の保険商品を売って巨額を集め、それを無謀なM&Aや、NYの最高級ホテル・ウォルドルフ・アストリア(→)買収につかった。

まるでマルチ商法だが、2017年にCEOの呉小輝は詐欺罪で拘束され、翌年18年の禁錮刑、個人資産1800億円没収となった。

日本にも500億円相当のマンション物件を保有していたが米国ファンドに叩き売った。

なんとか倒産を免れた大連の萬達集団は、資産の殆どを売却して裸同然となった。

まるで杜子春である。

CEOの王健林は萬達ホテルチェーンが76軒、テーマパークをあちこちに建設して運営、ショッピングモールにマンション建設、旅行会社、そして欧米の映画館チェーンAMCを買収したほか、ハリウッドの映画スタジオも買収した。飛ぶ鳥を落とす勢いで、「習近平主席とのコネの強さ」を自慢したものだった。

しかし、その絶頂期に不動産バブル崩壊の危機を察知した王健林は迅速に資産売却に動いた。なんとか滑り込みセーフとなった珍しい例である。

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