安倍ちゃん よく耐えた!

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困ったときの日本頼みで 急接近してきたようですね  (^_^;)

 


 
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遠藤 誉
李克強は「日本は戦争責任を深く反省せよ」と言い、習近平は上から目線で笑顔を見せなかった。
他国の首相への笑顔の振りまき方と比べず、習近平が安倍首相に顔を背けなかっただけで喜ぶ日本のメディアが哀しい。
 

 

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他国の首脳と会った時の習近平の笑顔

日本の多くのメディアは、2014年11月14日の北京で開催されたAPEC首脳会談において安倍首相と習近平国家主席が会談した際の無礼極まる顔と比べて、「なぜ、ここまで表情が穏やかになったのか」、中には「にこやかになったのか」とさえ表現するトーンで今回の日中首脳会談の習近平の表情を伝えている。
まるで習近平が笑顔でも見せたような印象を与えるが、笑顔になっているかどうか、まず今回の日中両首脳の表情を見てみよう。
10月26日付けの中国共産党新聞網の写真をご覧いただきたい。
習近平は厳しい表情を崩していない。
顔を背けていないだけで、国賓として受け入れておきながら、安倍首相に失礼だろう。
10月27日の中央テレビ局CCTV(新名称は「中国の声」)はどうだろうか。
やはり仏頂面で、安倍首相は「どうしたものか」と困惑しているように見受けられる。
それなら他の国の首相とはどうだろう。
まず2013年9月5日、ロシアのサンクトペテルブルクで開催されたG20でロシアのプーチン大統領と会った時の笑顔
互いに信頼に満ちて、相手の目をしっかり見ており、習近平は「笑顔」だ。
しかも相手を尊敬しているのが明らかに見て取れる。
同じくプーチンとの会談。2013年10月7日にインドネシアで開催されたAPEC首脳会談の際の自信に満ちた満面の笑顔だ。
冒頭に書いた2104年11月に北京で開催されたAPEC首脳会談でのプーチンとの握手は、習近平の方がまるでへつらわんばかりの笑顔をプーチンに見せている。実に低姿勢だ。
しかもこれは同じ2014年APEC北京会議でも、開催前の2014年11月9日にプーチンとは会い、安倍首相とはAPECが終わった最後の日の11月14日に会っている。
驚くべきことに首相ではなく、ロシアであるなら、外相とでさえ、習近平は実ににこやかだ。
2018年4月23日に新華網が伝えた習近平国家主席とロシアのラブロフ外相との会談をご覧いただきたい。
これを「笑顔」というのである。
習近平が「誰に、どの程度の笑顔を送ったか」というのは、非常に重要なシグナルだ。
トランプ大統領との握手は、ご紹介するまでもないだろう。
習近平は満面の笑顔をふり注いだだけでなく、トランプを皇帝扱いするほどのへつらいぶりだった。
大国だけではない。たとえばカザフスタンのナザルバエフ大統領に対しても、2017年05月14日の新華社報道をご覧いただきたい。
これが普通の儀礼である。
だというのに、安倍首相に対しては、何たる態度か!

安倍首相は、よくぞ耐えた!

どんな形であれ、日本が「一帯一路」に参画するのは反対だし、中国の戦略にまんまと嵌っていることに関しては警鐘を鳴らし続けるつもりだ。
安倍首相はおそらくトランプ大統領とは連絡し合っているとは思うが、それでも日本の計算通りには絶対にいかないと危惧している。
しかし一方では、中国の中央テレビ局CCTVで、延々と流し続けた安倍首相の苦渋に満ちた表情を見ていると、「よく耐えたなぁ…」と感心せざるを得ない。
その映像をリンクしたいと思い、かなり時間をかけて捜したが出て来ないので、やむを得ず文字で表現することにする。
CCTVは、苦渋に耐えながら習近平の高飛車な日中関係に関するお説教をひたすら聞いている安倍首相の表情をクロースアップし続けたし、世耕・経済産業大臣などは、苦渋というより「不快だ!」という思いが露わになっていた。眉をしかめた世耕大臣の顔に焦点を当てるCCTVのカメラのいやらしさ。他の日本側参加者も一様に不快感が出ているし、中国側から見れば「さあ、どうだ!参ったか!」という意思が明確に透けて見える。
北京における全ての行程を通して、安倍首相の嬉しそうな顔は、一度もなかった。
あれだけ前宣伝では、安倍首相を礼賛せんばかりに報道したCCTVは、今度はいきなり「苦渋の表情」へと貶める。
それは、日本から中国への「朝貢外交」なのだという印象を与えるのに十分な効果を発揮した。

巧妙な計算――なぜ習近平は26日午前に南部戦区の視察に行ったのか?

10月26日午前、習近平は南部戦区を視察して南シナ海を監視すべく、「いつでもすぐに戦えるように、指揮能力を高めよ!」と檄を飛ばした。
CCTVは、ニュースの順番として、まず習近平が南部戦区で南シナ海に対する戦闘準備のシミュレーションなどを視察する勇ましい姿と声を報道してから、安倍首相との対談の模様に入っている。
えっ?これは――!
ハッとしてネットに当たってみると、案の定、新華網が第一面のトップに習近平の南部戦区視察を大きく掲載して、その脇に安倍首相との会談を小さく載せるという、巧妙な手段に出ているのを発見した。
10月27日の新華毎日電訊の紙面の形をご覧いただきたい。
なんという、計算し尽くされた手法ではないか。
なぜ、わざわざ安倍首相訪中の日に合わせて、南部戦区まで行かなければならないのか、「おかしい!」と思ったのだが、その勘は当たっていた。

新華網は安倍首相との首脳会談を報道するページにも、わざわざ右側に、紙面における扱い方を掲載するという念の入れようなのである。
ここまで来ると、思わず「安倍首相、負けるな!頑張れ!」と、つい言いたくなってしまう。ま、お手並みを拝見することにしようか。
p.s.
10月27日付の「人民日報」第一面は、新華網と同じように、左側に大きく、習近平が安倍首相と会談することになっている26日の午前中に、わざわざ南部戦区に行ったことが書いてある。しかし日本の大手メディアの一つである読売新聞(10月27日付け)は、「人民日報」の左側(1面トップ)に大きく書いてある習近平の南部戦区視察の部分を、「新京報」という北京の地方版の新聞で隠して、あたかも安倍首相との首脳会談が「人民日報」一面トップで大きく扱われているように工面してある。なぜ、ここまでの、まるで「イメージ操作」のようなことまでしてでも、日中首脳会談が大きく扱われたというイメージを日本人に植え付けたいのだろうか?その目的は何なのだろう。
真実を見ようではないか。真実にこそ凄味があり、そこからしか真相を分析することはできない。イメージ操作をやめないと、日本が歩むべき道を読み誤らせる。
endo-progile.jpg遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。
都立新宿高校第13回生。
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。
中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。
著書に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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