読書 ユダヤと闘って世界が見えた

宇野 ユダヤと闘って世界が見えた _01

著者は、もともとは親ユダヤで、高校の日本史の教師をしながらユダヤ問題を研究し、やがてイスラエル政界にも人脈を持つようになる

たまたま著書がベストセラーになり、その本の中の記述にニューヨークタイムズなどの米国ユダヤ系マスコミがかみついて大反発し、激しい攻撃を受けて「反ユダヤ」に目覚めた

彼はユダヤ人には2種類あると言う

(1)スファラディ・ユダヤ人:本来のアブラハムの子孫となる正統ユダヤ人で、中東に住んでいて、アラブ人とも平和共存していた

(2)アシュケナジー・ユダヤ人:途中からユダヤ教に改宗した別人種で西欧に住んでいたが、非ユダヤ人から差別と弾圧を受けた

そして現在、イスラエルを建国し、アメリカ政財界を支配しているのは(2)のユダヤ人で、彼らはイスラエル国内では(1)を差別し弾圧しているという

差別された歴史を逆手に取った特権意識が(2)のユダヤ人の間に広がり、ユダヤ人を批判する者には手段を択ばず、徹底的に攻撃して叩き潰そうとする

まさに本書の著者は、その叩き潰し攻撃を直接に受け、骨身にしみた訳である

差別された集団が、差別を看板に敵陣営を攻撃し始め、いつの間にか特権階級に変化して差別する側にまわるというのは、歴史の中でよく見られる現象だ

アメリカでも過去半世紀の歴史の中で、かつての被差別集団の利益がどんどん拡大し、その反動でふつうの白人は肩身が狭くなり、貧困化してきた

その反動で登場したのが白人貧困層を支持基盤とするトランプ大統領なので、(2)のユダヤ人が支配している米国主要マスコミは、狂ったようにトランプ批判を展開している

かつて親ユダヤで、ユダヤ人にも豊富な人脈を持つ著者だけに、単なる妄想のようなユダヤ陰謀論とは異なり、かなりのリアリティを感じる

直前に読んだ「ユダヤ人の発想」が(2)のユダヤ人の立場なら、本書は(1)のユダヤ人に同情・共感する立場から書かれている

(^_^;)

 

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