陸軍「分列行進曲」 オペラ「カルメン」の影響?

▲陸上自衛隊中部方面音楽隊の演奏

指揮者の背中の羽根がカワイイ (^_^;)

 

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この曲「分列行進曲」は、明治初めの陸軍教導団で教鞭をとっていたフランス軍人シャルル・ルルー(→)が作曲した行進曲で、明治19年に日比谷の「鹿鳴館」(ろくめいかん)で初演されています

行進曲ですから勇ましいのは当然としても、途中で短調に転調したりして日本人の心にグッと来るものがあり、海軍の「軍艦行進曲」と並んで広く親しまれている名曲です

明治の日本陸軍は何事もドイツ陸軍をお手本にしていた訳ですが、その陸軍を代表する行進曲をフランス人が作曲していたというのが非常に面白いですね

「分列行進曲」にはオペラ『カルメン第2幕のカンツォネッタ「アルカラの竜騎兵(Les Dragons d’Alcala)」(↓)の影響が指摘されています

フランスでの『カルメン』初演は1875年(明治8年)、フランス軍人シャルル・ルルーが来日したのは1884年(明治17年)なので、前者が後者に影響を与えた可能性は十分に考えられます

 

アルカラの竜騎兵(Les Dragons d’Alcala)

 

「分列行進曲」は、現在でも自衛隊の観閲式(↓)に欠かせない曲になっています

 

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「分列行進曲」は、別名「抜刀隊」(ばっとうたい)とも呼ばれており、つぎのような歌詞(↓)があります

抜刀隊という名称は、明治10年の西南戦争で活躍した官軍部隊の名前から来ています

歌詞の中にある「敵の大將」とは、西郷隆盛(→)です

 

 

抜刀隊  作詞 外山正一 作曲シャルル・ルルー

  1. われは官軍我敵わがてきは 天地れざる朝敵ぞ
    敵の大將たる者は 古今ここん無雙むそうの英雄で
    これしたごつはものは 共に慓悍ひようかん决死の士
    鬼神にはぢぬ勇あるも 天の許さぬ叛逆はんぎやく
    起しゝ者は昔より 榮えしためしあらざるぞ
    敵の亡ぶる夫迄それまでは 進めや進め諸共もろとも
    玉ちるつるぎ拔き連れて 死ぬる覺悟かくごで進むべし
  2. 皇國みくにふう武士もののふの 其身を護るたましひ
    維新このかたすたれたる 日本刀につぽんとうの今更に
    又世に出づる身のほまれ 敵も身方も諸共もろとも
    やいばの下に死ぬべきぞ 大和魂やまとだましひある者の
    死ぬべき時は今なるぞ 人に後れてはぢかくな
    敵の亡ぶる夫迄は 進めや進め諸共に
    玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし
  3. 前を望めば劔なり 右も左りも皆つるぎ
    劔の山に登らんは 未來の事と聞きつるに
    此世このよに於てのあたり 劔の山に登るのも
    我身わがみのなせる罪業を 滅すためにあらずして
    賊を征伐するが爲 劔の山もなんのその
    敵の亡ぶる夫迄は 進めや進め諸共に
    玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし
  4. 劔の光ひらめくは 雲間に見ゆる稻妻か
    四方よもに打出す砲聲ほうせいは 天にとどろいかづち
    敵のやいばに伏す者や たまくだけて玉の緒の
    絶えて墓なくする身の かばねは積みて山をなし
    其血そのちは流れて川をなす 死地に入るのも君が爲
    敵の亡ぶる夫迄は 進めや進め諸共に
    玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし
  5. 彈丸雨飛だんがんうひの間にも 二つなき身を惜まずに
    進む我身わがみは野嵐に 吹かれて消ゆる白露の
    墓なき最期とぐるとも 忠義の爲に死ぬる身の
    しにて甲斐あるものならば 死ぬるも更にうらみなし
    我と思はん人たちは 一歩も後へ引くなかれ
    敵の亡ぶる夫迄は 進めや進め諸共に
    玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし
  6. 我今茲われいまここしなん身は 君の爲なり國の爲
    捨つべきものは命なり 假令たとかばねは朽ちぬとも
    忠義の爲に捨る身の 名はかんばしく後の世に
    永くつたへて殘るらん 武士ぶしと生れた甲斐もなく
    義もなき犬とはるゝな 卑怯者となそしられそ
    敵の亡ぶる夫迄は 進めや進め諸共に
    玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし

 

下の動画は、敗色濃い昭和18年に東京の明治神宮外苑競技場(後の国立競技場)で挙行された、出陣学徒壮行会で、「分列行進曲」や「海ゆかば」が流れています

元の動画は白黒ですが、最近のAI技術でカラー化されています

 

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下の動画は、フランス国家「ラ・マルセイエーズです

歌詞を見ると、世界の国歌の中でも特に好戦的な国歌だと言われているのが分かります

同じフランス人の作曲のせいか、何となく「分列行進曲」に似たものを感じます

 

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下の動画は、映画「カサブランカの中の一場面です

ドイツ人将校たちが酒場でドイツの軍歌(愛国歌)「ラインのまもり」を歌うのに対抗して、現地のフランス人たちが「ラ・マルセイエーズ」を歌っています

バーグマンの美しさ、ボガードの格好良さは言うまでもないんだけど、警察署長(クロード・レインズ、→)が実にいい味を出してるんですよねー

この映画、戦意高揚のために作られた映画です

若い女の子が泣きながら国歌を歌っているのが印象的です

(^_^;)

 

 

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