ある大国が周辺の小国を侵略して「占領地」にした場合、大国が関与する次の戦争では、「占領地」に住む若者が真っ先に最も危険な最前線に送られます
これは弱肉強食の国際社会の原則です
戦争に負けて占領されるということは「奴隷になる」ということと同じで、何をされても文句が言えない、それが世界の歴史でした
日本は第二次大戦に負けて一時的に(1945~52年)アメリカの「占領地」になりましたが、日本の若者は、その後アメリカが関与した戦争、例えば朝鮮戦争(1950~53年)の最前線に送られませんでした
負けた国の若者(日本人)が最前線に送られず、勝った国の若者(アメリカ人)が最前線に送られて、その多くが戦死しました
これは世界史では極めて例外的であって、当時の日本外交の成果でもあり、また圧倒的に強国だったアメリカの余裕(鷹揚さ)によるものだったと思われます
このような超恵まれた被占領体験だったので、日本人の平和ボケは、底無しになりました
時代をさかのぼって日本の奈良時代、いまから1200年以上むかし、大和朝廷は九州の防衛を固めるために、防人(さきもり、←)と呼ばれた兵士たちを九州へ送りました
防人たちは、大和朝廷の「占領地」である東北地方など東国の若者たちでした
往復の移動費用はすべて自前という過酷な条件で、移動中に食料が尽きて餓死する者も少なくなかったといわれています
もちろん防人を拒否したら処刑されますから、恋人や妻子、家族と別れて、泣きながら長い距離を移動したものと思われます
まさにいま、ロシア少数民族の若者が置かれている状況とよく似ています
そんな訳で、割と最近までは、首都モスクワ周辺のロシア人にとって、ウクライナ侵略は他人事(ひとごと)でした
むしろ西側の経済制裁によるインフレ(物価上昇)の方が関心事でした
マクドナルドが撤退して、そのハンバーガー(→)が食べられなくなった、というような、いたってノン気なものでした
それが今月に入って状況が激変しつつあります
ウクライナ軍による攻撃がウクライナ国内だけでなく、ロシア国内にも及ぶようになり、今回の事件のようにロシア富裕層の身近にも迫ってきました
対岸の火事(←)だと思って安心していたら、火の粉が飛んで来て、こちら側にも延焼してきた感じです
ロシアはプーチン悪魔による暗黒独裁体制ですが、北朝鮮や中国と違って、選挙があります
選挙不正はやりたい放題みたいですが、形だけでも選挙があれば、極端に民意を失った場合、プーチン悪魔の足元がグラ付くことになります
プーチン悪魔にも娘がいます(↓)から、プーチン悪魔はいま、心中おだやかではないと思われます
もちろん、自業自得です
((((;゚д゚))))
プーチンの側近中の側近で、ウクライナ侵攻を支持していた「プーチンの頭脳」アレクサンドル・ドゥーギン(→)。
そのドゥーギンの娘が8/20、モスクワ郊外で自動車に仕掛けられた爆弾によって暗殺された。
暗殺現場はロシアの首都モスクワの、権力者やエリート層が集まる富裕な地域。
今回の暗殺事件を受け、ウクライナ侵攻を正当化するプロパガンダを流してきたロシアのマスコミ関係者のあいだでは動揺が広がっている。
ロシアのトップエリートや侵攻を支持する著名人たちのなかでも、自分たちも危険にさらされているという意識が、この事件を機に高まっている。
次は自分たちが標的になるかもしれない、そしてロシア政府は自分たちを守れないかもしれないと、彼らは認識し始めている。
ウクライナの最前線で戦っているロシア軍の兵士は、モスクワから遠く離れた場所に住む少数民族が多い。
モスクワ周辺に住む普通のロシア人にとっては、まだ遠い世界の話に思えたウクライナでの戦争が、突然、身近に迫ってきた。
今回の爆破は、プーチンがその長い在任期間でロシア国民と交わしていた「暗黙の契約」の根幹を揺るがしている。
その「暗黙の契約」とは、
「プーチンだけが安全、平和、経済の安定を維持できる」
というものだ。
いま、この3つすべてが危うくなっている。
プーチンの側近ドゥーギンの娘が爆死する映像や、空軍基地への爆撃でクリミア半島の占領地(保養地)から行楽客が大挙して逃げ出す様子、そしてロシア南部にある弾薬庫への攻撃などを見て、多くのロシア人は平静を失っている。
万葉集に収められている、信濃の国(長野県)の防人の歌です。
「防人(さきもり)として九州へ赴く日、子供達がまだ寝ているうちに出立するつもりだったが、子供達の寝顔をながめているうちにいつしか夜が明け、一番鶏の声に子供達が目を覚ましてしまった。
唐風に仕立てた旅の衣を着た私の姿に、子供達は何かを感じ取り、裾に取りついて行くなと泣く。
せめてこの子達の母が生きていてくれたらと思うのだが、それは思っても仕方がないこと。
言い聞かせてわかる歳でもなく、子供たちの手を振り払い駆け出すしかなかった。
振り払った小さな手のぬくもりが今も忘れられない」
防人歌の多くは、出立にあたっての妻子、両親との別れの悲しみ、遥かな故郷を思う望郷の念を詠っています。
東国の人々にとって防人がいかに過酷な使役であるかを思い知らされます。
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